2024/09/09
【贈与税】親からのマイホーム資金援助で注意したい『贈与税』の非課税制度について解説
マイホーム購入で親などの親族から資金の援助を受ける方は少なくありませんが、皆さん気にされるのが「税金」です。
何も知らずに資金援助を受けると「贈与税」を納める必要があります。
そこで今回は、贈与税のルールをはじめ、マイホーム資金における贈与税の非課税制度を解説します!
贈与税とは何?
はじめに、贈与税の仕組みや、混同しがちな「相続税」との違い、贈与税の非課税制度について見ていきましょう。
父母や祖父母などから贈与を受けたら贈与税がかかる
贈与税とは、『個人からの「贈与」によって財産を取得した時に、その取得した財産に対し課せられる税金』のことです。
相続税は、あくまでも「相続した財産」に対して税金が課せられるのに対し、贈与税は、「受け取った財産」に対し課せられる税金です。贈与税は、親から子へ生前に贈与して相続税の課税を回避する行為を防ぐ目的もあるのです。
贈与税は、以下の計算式で求められます。
贈与税 = 課税財産額(※)× 税率
※課税財産額 = 受け取った財産額 -{基礎控除(110万円)+ 非課税財産等)}
※課税財産額が増えるほど税率が高くなります。
参考:財務省ホームページ
マイホーム資金の援助で贈与税を節税する方法
では、マイホーム資金の援助における贈与税の節税方法を解説します!
贈与税の非課税制度の概要
贈与税の非課税措置は、父母や祖父母など直系尊属から財産の贈与を受け、住宅の新築や購入・増改築を行った場合、贈与された財産が非課税となる制度です。
非課税制度の注意点は以下の3点です。
❶ 贈与を受ける期限や限度額がある ❷ クリアしなければならない要件がある ❸ 非課税でも申告しなければ課税される |
❶ 贈与を受ける期限や限度額
適用期間は、令和4年1月1日から令和5年12月31日までの間に、父母や祖父母といった直系尊属からの贈与により金銭を取得した場合に限られています。
非課税の限度額は、省エネ等住宅とそれ以外の住宅で異なります。
非課税限度額 | |
省エネ等住宅(※) | 1,000万円 |
それ以外の住宅 | 500万円 |
※省エネ住宅等とは、以下の3点の条件を満たし、住宅性能証明書など一定の書類を贈与税の申告書に添付することにより証明された住宅をいいます。
- 断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上であること。
- 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物であること。
- 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること。
❷ クリアしなければならない要件
非課税措置を適用するには、受贈者(=資金援助を受けた人)と住宅用の家屋の要件を満たさなければなりません。
☑ 受贈者の要件
新築および入居期限の要件は以下のとおりです。
● 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築等をすること。
● 贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること(※)または同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること。
※翌年3月15日までに入居が間に合わなかった場合、居住することが確実であると認められた場合は、贈与を受けた年の翌年12月31日まで遅らせることができます。
このほか、以下の要件を満たさなければなりません。
● 贈与を受けた時に贈与者の直系卑属であること。 ● 贈与を受けた年の1月1日において、18歳以上であること。 ● 贈与を受けた年の年分の所得税に係る合計所得金額が2,000万円以下(新築等をする住宅用の家屋の床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満の場合は、1,000万円以下)であること。 ● 平成21年分から令和3年分までの贈与税の申告で「住宅取得等資金の非課税」の適用を受けたことがないこと。 ● 自己の配偶者、親族などの一定の特別の関係がある人から住宅用の家屋の取得をしたものではないこと、またはこれらの方との請負契約等により新築もしくは増改築等をしたものではないこと。 ● 贈与を受けた時に日本国内に住所を有していること。 |
☑ 住宅用の家屋の要件
新築する住宅用の家屋については、登記簿上の床面積に関する要件があります。
新築または取得した住宅用の家屋の登記簿上の床面積(マンションなどの区分所有建物の場合はその専有部分の床面積)が40平方メートル以上240平方メートル以下で、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上が受贈者の居住の用に供されるものであること。
非課税の特例を受けるには、その旨を記載した贈与税の申告書に一定の書類を添付して、納税地の所轄税務署に提出しなければなりません。
申告を忘れた場合、贈与税を支払うこととなるので、忘れずに行いましょう。
- 贈与税の申告期限は、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までです。
- 非課税措置を適用して税額が0円となったとしても申告は必要です。
※税金の特例適用に関しては個別要素が強いため、税務署にご相談いただくか、信用されている税理士さんへご相談ください。
※本コラムの情報は、令和5年3月1日時点の情報です。法令等の改正などにより変更となることもあります。